● スウェーデン、ドイツ、オランダ三国の視察報告 ●
〜医療の品質とエラー管理〜



3.オランダ

MCH Medisch Centrum Haaglenndenn  ハーグ中央病院
Drs. A. J. P. Boesten 院長

 10年前に賠償保険会社の損害賠償が増加し、医療賠償保険をやめるという事態が生じた。結局、「相互補助組織」として2種類(大学病院と一般病院)の「損害賠償保険機構」を再度作った。
現在は「個別責任による損害賠償」を行っているが、ニュージーランドやスウェーデンの"無責法 No Fault 法"に移行する方針である。
昨年は「補償 2500件 賠償額 1200万EUであった。
事故防止のための活動を両保険会社も積極的に勧めている。
Ms. Emie le. Noble 広報担当係
Ms. Corrie Kaptein 相談係

病院紹介:
 MCHは二つの病院を併せ持つ"医療法人"率の病院の一つで、規模はもう一つの病院=ウエストハーグ病院 120年の歴史より小さい。教育病院で90年の歴史がある。
医師 250人  医療スタッフ 2500人 
外来患者 250,000人/年  入院患者 37,000人/年 年度予算 15,700EU
診療科は脳神経外科、心臓血管外科は無いが、他の全ての診療科はある。がん治療、災害・外傷センター、スポーツ医学、睡眠センターなどもある。
ウエストハーグ病院にはヘリコプター プラットホームがあり、脳神経外科はある。
心臓外科は大学病院にある。

苦情処理:
 4人のスタッフで処理している。2002年には312件の苦情が持ち込まれた。
第一段階として、「苦情処理係(CM)」が医療者と患者の"仲裁"業務を行い、"責任追及"は行わない。
第二段階は「苦情処理委員会」である。各病院に設けられており、月二回病院で開催する。申請があると委員長が"聴聞会"を開く必要があると判定した場合は、苦情の意味を評価するために開催される。委員会の構成は外部からのスタッフ(法律専門家)もコンサルタントで入り、一般的には5−8人で、MCHは6人で構成している。委員長は法律専門家、外科、ホームDr.、看護師、精神科、内科である。費用は病院が持つ。同僚審査を行い、補償の要否を決める。 決定は職員には開示され、補償は前記相互扶助保険から支払われる。2002年には312件の苦情のうち17件が同委員会にかけられ、全件補償された。 患者がこの決定に同意しなければ裁判に持ち込まれる。
「風紀委員会」はほとんど医師の審判を行う委員会で、委員長は法律家である。
2002年は4件のケースが申請された。職務停止、資格剥奪などが科せられる。

苦情処理係に申請される理由は、障害、怒り、補償が低い、病院のために、責任の所在を明らかにしたいなどがきっかけで行われている。
申請は申請書に記載し、手紙あるいは電話で受け付ける。
苦情処理法はCMがコーディネーターとなって、医師、看護師、本人の話し合いを持つ。
苦情内容は
   医師、看護師などの誤診・誤療・誤手術・ミス        37%
   待ち時間、駐車場のトラブルなどのマイナー苦情      30%
   医療スタッフの接遇、救急処置に対するクレームなど    13%
              (めがねが壊れたことなども)
原因は不明であるが苦情は増え続けている。
この制度は1995年、患者権利法に基づいて設けられている。

   


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