● スウェーデン、ドイツ、オランダ三国の視察報告 ●
〜医療の品質とエラー管理〜



2.スウェーデン

 県立南病院 South Stockholm General Hospital (Sodersjukhuset)

Ms.Birgitta Skold Cordinator
彼の経歴は大学で看護学士の資格を得、さらに、ICU、麻酔看護の学士を取ったうえ、Business Communicationの資格も持っている。
南病院は1944年開設の県(州)立病院で医師を含めて全て公務員である。530床の病院で心臓外科、脳外科などは無いが救急外来は多く、活発な急性期病院である。ちなみに人口70万で近隣の小さな町をもカバーしている。カロリンスカ病院は北ストックホルムを、当院は南半分をカバーしている。ストックホルムには7病院あり、大学病院は二箇所、国立で特定の診療(脳外科、心臓外科など)を行い、プライベートも存在する。
2002年度は;入院数 44,500人、手術数 12,500件 外来手術 5,600件
       出産 4,700人、救急外来患者 87,500人
看護師 1490人、準看護師 780人、医師 607人、医療秘書 213人、事務職 248人、 その他の職(ガードマンなど)213人
専床率は100%に近い。救急外来は積極的であるが待機的手術、椎間板ヘルニア、人工骨頭手術などの待ち時間は長い傾向にある。

「保健医療法」により国民は誰でも良好な医療を受ける権利が保障されている。そのことを県職員の立場で"患者の苦情処理係り"を担っている。
州立病院は"株式会社式運営"であり、株主は"州議会"である。予算は議会が提供するが、今年度"医療の質向上のための予算"が新設されたとのこと。株式会社であるとすれば"利益"は州に還元されるということなのか。収入は国民は皆保険で無料化されており、支払いもまたこの保険から払われる。職員が公務員であるとすればPL図はどうなるのか理解がしにくいー再調査必要―
1992年に患者オンブズマン制度が確立し、患者のクレームの増加と病院の質改善の見地から設けられた。仕事は増加しつつある。
医療過誤・事故はコミュニケーションエラーが多く、患者の期待と医師の解説などとの整合性が問題になる。高齢者社会になり、ケアーの量的課題が増えている。
救急外来では受診料は160SEK(2400円)で払えない人にはその救済法もある。
地域オンブズマン(Local Patientombudsman) の仕事は上記の通りで、e-mail、電話、手紙、面談で行う。
その他の保健・福祉に関する部局は下記のとおりである。
患者局(Patientnamnden PaN)は独立した部局で歯科を含む医療にかかったときの問題について患者あるいは家族の支援を行う。如何なる審判も行い得ない。
社会保険庁(Socialstyreisen SOS)スウェーデンの保健・福祉のための省庁で、社会保障、公衆衛生、感染症予防、保健サービスを取り仕切っている。医師は自らの過失で事故を発生させた場合は社会保険庁に届け出る。
医学的過失を検証する委員会(HSAN:Halso-och sjukvardens ansvarsnamend)は患者からの訴えを受けて、医療スタッフの事故を同僚審査的に評価し、失策―エラーを起こした事故原因を監査し、必要に応じて何等かの懲戒を科す。
PSR(Patientskadereglering 患者補償部門)医療事故で損傷を受けた場合は、州議会と保険業者とでも受けている補償機関で、申請された保証依頼の事故の45%は補償を受けている。
POはスイスチーズ理論を応用して各事故の分析と防止策を提示している。

     南病院でのデータ                                  
年度
患者総数
苦情
苦情率
PaN
HSAN
SOS
PO
2001
155,851
483
0.31
48
45
20
370
2002
147,517
468
0.32
42
51
19
353
2003
 
 
 
35
45
18
203

 

   


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