松尾クリニック
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プライマリケア

「介護保険で在宅医療現場はどう変わるか 」

 

家庭内状況まで把握した医療
 在宅医療幕開けのこのような時期から見るとこの7、8年の社会資源の進歩は画期的なものであった。在宅療養者を受け持った場合、いちばん大切なのは病態の把握に加えて、療養者の現在の日常動作の見極めと家族構成や家庭内の状況の把握である。また、いかにコーディネ-トしてうまく社会資源を活用するように工夫するかで、療養者の満足度は変わってくる。
 その例として64歳で陳旧性心筋梗塞、脳梗塞、左片麻痺、糖尿病(NIDDM)、脳血管性痴呆およぴ尿失禁の独り募らしの男性を思い出す。家族からはほぽ絶縁関係のため、生活保護申請と同時に特別養護老人ホームの入所を申請した。尿失禁のため頻繁な洗濯を要し、ホ一ムヘルパーに週3回家事援助を依頼し、訪問看護を週3回、デイサービスを週3回、通所リハビリを週1回でなんとか日常生活の向上をはかりながら月2回の訪問診察を行った結果、やっと1年後にホームに入所できた。訪問を始めたころは部屋のなかで無表情に坐るだけの生活だったが、入所前には杖歩行も少しはできるようになり冗談をいえるまでになっていた。このように病気から日常のすべてまでを把握することが在宅医療では必須条件であり、治療効果および看護・介護の成果もあがりやすい

社会資源の活用
 現在の医療制度で可能な限りのギリギリの介護とは(表1)、各家庭の経済的状況を考えながら個々に応じて、在宅のケースでは週3回の訪問看護以外に公的ヘルパーに週3回入ってもらい夜のスポット派遣を依頼。さらに民間のヘルパーに家事援助、入浴サ-ビスを頼み、食事は給食サ-ビスを利用する。さらにデイケア、デイサ一ビス、通所リハビリテ-ションなどに送迎してもらい、基幹病院までの検査や受診のために福祉タクシーを利用するか移動サ-ビスに依頼する。状況に応じて病院あるいは施設のショートステイサービス、ミドルステイサービスを利用する。もちろん日常生活用具の給付や貸与は必要とあれば状態に応じて施設を利用をすることを勧めている。
 介護保険が実施されれぱこれらのコーデイネ-トはすべてケアマネジャーの仕事となるのだが、あらかじめ定められた要介護度に対して決まった給付額の範囲内で介護サービスを組み合わせ、調整することとなる。この際、本人およぴ家族の負担額は介護保険で給付される範囲については1割負担、それを超過した分に関しては全額自己負担となる。さらにケアプランが納得できなければ他の機関のケアマネジャーに依頼し策定しなおすか、本人および家族がケアマネジャーを介さずに直接介護サービスを提供する機関に利用を申し込み、要介護度の範囲までその費用の還付を求めることができる。

表2利用料金(在宅サ-ビス)
身体状況
H N D S サービス費用(万円)
要介護度T;虚弱 虚弱 日常生活能力は基本的にある 1〜2 1 1 1〜2/年 6
要介護度U;軽度 軽度 日常生活はなんとか自分でできるが
衣服の着脱など―部支援を要する
1 1 3 1/2ヶ月 14〜16
要介護度V;中度 食事、排世、入浴に介護を要する 3 1 3 1/2ヶ月 17〜18
要介護度W;重度 起き上がリ、寝返りができない 7 1 3 1/2ヶ月 21〜27
要介護度X;痴呆 意思の疎通が困難 3 1 3 1/2ヶ月 23
要介護度Y;最重度 寝たきり状態で、すベてにおいて全面介助 7 2 3 1/1ヶ月 23〜29
H:ホ―ムヘルブサ-ビス(1週間の回数) N:訪問看護(1週間の回数) D:デイサービス、デイケア(1週問の回数) S:ショ-卜ステイサ-ビス

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