在宅ケア
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住み慣れた家で死ぬということ

さくらいクリニック
院内情報誌No.3より抜粋


 医院のパンフレッ卜に「死」などという言葉がでてきて違和感を持つ方もおられるかもしれません。しかし人間みんながいずれは迎える「死」から目をそらさず、すなおに語ることは大事なことと考えます。今、ほとんどの人が病院で生まれ、病院で亡くなっています。そしてそれが当然の事のように思われています。 生まれる時は場所を選ぶことはできませんが、人生の総仕上げの場ともいえる「最後の場所」はある程度自分の意志で選ぶことができるはずです。ほとんどの人が病院で亡くなっている今、住み慣れた自分の家で最後の時を過ごしたいと願う方が増えています。確かに設備が行き届いた病院は医者も看護婦もいつでも居て くれ安心かもしれませんが、病院は病気を治療する場であっても人生最後の時「有終の美」を飾る時をゆったり送る場所としては適していないようです。もちろん心筋梗塞や脳出血などで急に倒れたりした場合や、癌が見つかっても治療で治る見込みのある場合などは病院での治療が必要ですが、長期に療養が必要な慢性の病気や、癌の末期など自宅で暮しながら療養するほうが艮い場台もあります。
「え?」癌の末期が自宅での療養に適しているなんてとんでもない。と思われるかもしれませんが、実は、癌の末期こそ自宅での療養に適しているのです。

癌の末期こそ自宅での療養が適している

 実際、さくらいクリニックが今までに自宅で最後まで看させていただいた17名中12人は癌患者さんでした。末期の癌患者さんが自宅での療養に向いているという理由の一つはもちろん限られた時間を住み慣れた自宅で自分の思うように過ごせるということですが、もう一つは最後までの時間が限られていて介護する家族もがんばれる、ということです。癌で5年も10年も寝たきり、ということはないからです。また、癌の未期にはつきものと皆さんが誤解している痛みや苦しみも適切なくすりや注射でほとんど自宅でコン卜ロール可能となっているのです。人生最後のひとときを住み慣れたわが家で家族や友人やペッ卜や家具、食器、洋服、ふとん、見慣れた景色、天井のしみ、など自分のお気に入りの物たちに囲まれてゆったり過ごす、そのために家族や周りの人達に特別の迷惑をかけることもない、そんな当り前の自宅での最後を医療、福祉、介護の立場からお手伝いできれば、と思います。

あなたは癌になったらはっきり告げて欲しいですか?

 いわゆる癌の告知に関しては一般論では語れないむずかしさがあります。癌と一口で言つても手術や抗癌剤、放射線で完全に治せるもの、そうでないもの、癌の種類、場所、時期によって千差万別です。また、自分が癌になったら伝えて欲しいが、家族が癌になった場台は言わないで欲しい、という方が多いのも現実で す。今まで日本では医者は癌を見つけると、まず家族に聞いて本人に伝えるかどうか聞くことがほとんどでした。よく考えるとおかしな話です。まず本人に伝えてそれから家族に伝えるかどうか本人の意思を確認するのが本当でしょう。万一癌になったら、病気になったら、死ぬときはどんな死に方をしたいみんなで話あっておくことも大事なことです。誰にでも必ず訪れる死、誰のものでもない自分自身の死について考えることは、他でもなくより良く生きることにつながると考えます。

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