先発、中継ぎ、ストッパーと分業がすすみ、一試合3―4人のピッチャーで分担するのがあたりまえ、の今日このごろですが。先発して最期まで、予防から看取り、まで家庭医として投げ切って完投できたんでちょっとうれしくて報告させていただきます。
74歳のHさん、糖尿病にて当クリニック通院中。6年前にご主人が肝臓癌、病院であと1週間もたないと言われ それでも無理矢理帰ってこられたところ、
愛犬のコッカスパニエル、リリーちゃんと再会できてて双方大喜び、愛犬のおかげか2ヶ月そこそこ元気に過ごされた後、在宅にて亡くなられ、私が看取らせていただきました。リリーちゃんが亡くなったご主人の棺の中に入り込んでしまって出て来ない、このままでは一緒に焼かれてしまう、と無理矢理引き出したんだそうです。
そのころから、あれれ、という認知症状が出ていたHさん(家族が気が付くととんでもない額の買い物をし回っていて借金返済が大変だったそうです)次第に認知が進行、深夜の冷蔵庫あさり、などもでて糖尿病が悪化。信じられないくらい献身的にめんどうを見られるお嫁さんに“入院や専門病院への通院は大変、先生のとこでなんとかして”と言われて当時は他医療機関へ紹介していたインスリンをうちのクリニックで開始、苦手だったインスリン治療もなんとかできるようになったのは、Hさんのおかげかな?
糖尿のコントロールもまあまあだったんですが、認知は進行、それでも介護保険を上手に使いながらお嫁さんは在宅でケアしておられました。今年の6月、あの愛犬リリーちゃんが老衰で亡くなった後、ふとお嫁さんが、
「あの、おばあちゃんがちょっと黄色いような気がするんですけど。」
「ええっ、」
と駆け付けて採血の結果は、閉塞性黄疸、肝機能障害、糖尿悪化、貧血。そしてCA-19-9高値。
CTの結果はやっぱり膵頭部癌。
とほほ。うーん、認知もすすんでときどき誤嚥もみられるHさん、家族はもうこのままで、じいちゃんと同じように最期まで家においてあげたい。とてもとても献身的なお嫁さんに感動。
私の夏休み前日、夕方往診に行くというといて、ころっと忘れてしまっていて、夜9時頃うちのナースからの連絡であわてて電話、
「ごめんなさい、往診忘れてた。もうかなり飲んでて往診に行けないし、明日からは6日間、日本にいない、ごめんね」
「ばあちゃん、まあ大丈夫そうだからゆっくり休んで来てくださいよ。」
とのやさしいお言葉に感謝、なんとか代理のドクターは手配。帰国後真っ先にかけつけるとHさんはかなり衰弱しているものの、まあ少量の経口摂取は可能、ほっと一息、ところが翌日急に状態悪化、あれれ、というてるまに、その翌朝8時半に亡くなられました。
「やっぱり付き合いが長いと、患者さんもこっちのことも考えてくれて、ほんまにええ時間に逝きはったよね、」
というと
「先生は、往診忘れてたのにね、」
とうちのナースにつっこまれました。とほほ。
決して無四球、完封なんかではなく、打たれたり、四球、死球にエラーもあり、よれよれでもなんとか9回まで投げ切れたのもチームメイトや観客の応援があったからかな、そんな感じの町医者、家庭医がいいですね。