やすこさんが疲れた顔をしてやってきた。今日は隣町に住む両親のことで相談がある、という。そういえば以前お父さんが脳梗塞で入院した、と話していたのを思い出した。 「今日は私じゃなくて、両親のことで、、」 「お父様はもう退院なさったんですか?」 「ええ、先月、ところが父の介護で母が疲れてしまって、、私も時々手伝いに行くんですけど、、うちの家もありますし、、なかなか時間がなくて、、」 「お父様は確か脳梗塞で少し麻痺があるとか、、介護保険でいろいろサービスは受 けてないんですか?」 「ええ、受けてはいるんですが、、それがうまくいかなくて。」 「要介護度は?」 「なんやら2とか。1が一番重くて二番目かと思っていたら違うんですね。」 「そうなんです。身体障害者手帳の等級とは反対で、5が一番重い。ややこしいで すけど。」 「そうなんです、介護保険ってなんやらややこしくて母なんかよくわかってなくて 、、ヘルパーさんのことで相談しようと思ったらそれはあっちのケアマネージャー に言うてくれとか、ケアマネージャーさんがデイケアを勧めてくれてもても父はいやだ、行きたくないとだだをこねますし、そうかといってヘルパーさんを増やそうとしたら母はこれ以上他人を家に入れたくない、来てもらっている気に入った訪問看護婦さんについでに掃除もして欲しいとか、1割の負担金がかさむとか言うし、 ほんとうに困ってしまって、」 「看護婦さんに掃除はちょっと、、その辺はいろいろとケアマネージャさんと相談 して、、」 「そのケアマネージャーさんがなんかすごく忙しそうでなかなか相談にのってくれそうになくて、、」 「確かにややこしい給付管理業務で大変みたいですね、ケアマネさんは、、」 「それになんか各々の業者と契約とか、限度額とか、自己負担金が何円の単位とか本当にややこしくて、うんざりですわ。」 「まあ確かにややこしいのは事実ですが、、制度も始まったばかりですし、サービス提供する側も混乱しているのが現状ですわ。そのうち落ち着いてきたらいろいろ役に立ちますよ、、きっと。」 「そのころまでに家族みんな倒れてなければいいけど、、。」 介護保険が始まって半年が経った。この新しい保険制度、医療保険のように保険証を持って医療機関へ行けば取りあえず医療が受けられる、というのと違って要介護認定、ケアプラン、などと今までにはなかったいろいろややこしいシステムが必要だ。これを利用する利用者も不慣れなら、サービス提供側も不慣れ、いきなりスム ーズにはいかないのが現状だろう。 サービス提供側は医療、福祉、そして民間企業といままで決して連携がよかったとはいえないさまざまな業種がケアプラン、という同じ土俵で利用者にかかわっていくこととなった。利用者もおまかせではいい介護サービスは受けられない。自分で選んで自分に合ったサービスを利用する、自分の必要なサービスは自分で選んで決める、ケアプランは自分で立てる、という姿勢 が必要だろう。知識のない最初は旅行社のパックツアーにたよって旅行しても、2 回目、3回目は自分で予約して気に入ったホテルへ泊まるプランを自分で立てるという具合に。
| INDEX |
TOP