まちかど診療日記
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  『それでも、ラップで治る』
〜鳥谷部さんはガリレオでありオオクニヌシノミコトである〜

書評 (月刊ナーシング 2005 11月号)
「褥創治療の常識非常識
ラップ療法から開放性ウエットドレッシングまで」
              鳥谷部 俊一 著 / 三輪書店 2940円


 ラップ療法の創始者、鳥谷部さんがやっと本を書いてくれた。遅すぎたぐらいだ。これでラップ療法の信者、ラッパー達にやっとバイブルが配布されることとなった。これまでと違ってラッパー達は、ええっ、褥創にラップを貼るなんて、という先輩や、エビデンスがない、とおっしゃる上司や、管理者やそして患者さんや家族にも、にっこり笑ってこの本を差し出すだけでよくなった。そこに広がる新しいラップの世界は既存の概念を打ち破って、やさしく創を包み込み、いとも簡単に、そしてきれいに治してしまうだけでなく、医療、福祉、介護なんていう利用者にとっては何の意味もないややこしい境界までも打ち破ってしまう包容力を持っている。感染が恐い?おにぎりをラップで包んだから腐るのではないことをみんなは知っているはずだ。

でも一言だけ。「開放性ウエットドレッシング療法」とラップ療法を新しい療法で呼び変えることに関してである。確かに、新しい治療理論の採用、というイメージを大切にするならそれもいかもしれない。だが、褥創処置を医療行為から家庭で簡単にできるケアの一部にしてしまった、という視点から見るなら、あくまでラップ療法、という名称にこだわって欲しかった。患者や家族は、開放性ウエットドレッシング、なんていう名称には興味はないはずだ。まあちょっとゆずって学術名と一般名、ということにしておこうか。

そして栄養、口腔管理によるQOLの改善、や高齢者終末期医療、ケア、のパートを読むと、鳥谷部さんが、褥創のラップ療法を高齢者のQOL向上、という広い視点で捕らえていることが良く理解できる。
本来人間が持っている自然治癒力を引き出す、というコンセプトで夏井さんの『新しい創傷治療』と鳥谷部さんの『ラップ療法』は、21世紀の医療ギョウカイのガリレオとコペルニクス、として認められる時代が近いに違いない。だた、ラップ療法はまだまだ始まったばかりである。新しい治療法のさらなる発展と進歩を切り開くのはラッパーであるあなたたち自身なのだ。

科学的根拠に基づこうとして、ほとんどすべての治療法が推奨度C1(行うことを考慮しても良いが、十分な根拠がない)になってしまった日本褥創(おっとこちらは“瘡”の字)学会のガイドライン、次回の改訂時にはラップ療法が掲載されるのだろうか?その時の推奨度は?? でも本当はそんなことはどうでもよくて、要は床擦れが治れば、できなければ、そしてそんな状態に患者さんをおかないようにケアするのが我々医療者の役目であることを忘れないでいたい。

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