クスリをお菓子やおまんじゅうのようにやりとりする。
これも病院勤務医時代にはほとんど想像だにしなかったことだ。
湿布をたくさんもらっていって近所にわけている人の話、このクスリよう効いたで、ととなり近所に配って歩く人、そのおかげでたつじいさんのようもらったクスリで思わぬ副作用に苦しんだ話。
のみあわせで副作用がでたり、クスリの効果が打ち消されてしまったり。湿布、軟膏といっても痛みどめとは限らない、さまざまな効果のものがある。
あるとき、おばあさんがふらふらになって外来にやって来た。普段160ぐらいある血圧が80しかない、おかしい、いったい何がおこったのだろう、とおもっていたら腰も痛いという、腰のはらまきとってみるとなんと心臓の血管をひろげるフランドールテープという貼り薬、腰に5枚もはってある。聞くと、「血の流れを良くする貼り薬」と言って近所のおばちゃんにもらったという。
確かにそうだが、血管拡張剤を5倍量も貼って、あやうく死ぬところだった。
DDS(Drug Delivary System)といってクスリを体の中に取り込む方法は色々研究されていて口、肛門、皮 膚、鼻といろいろなところから錠剤、カプセル、粉、液体、湿布、テープ、軟膏、スプレー等いろいろな形で取り込むクスリがある。湿布=痛み止め、座薬=熱さまし、と言う固定概念は危険だ。
胃薬だといってもらって飲んでいる、というクスリを見せてもらったら痛みどめだったりする。このクスリを飲むとだるくなる、眠りクスリと思っていたと言うクスリをみせてもらったら抗癌剤だったことがあった。この方が、これねる前にのんだら、良くねむれる、ととなりのおばあさんにあげたら、、。
医者や薬剤師がいくら注意してもこのクスリのやりとりでおこる副作用、相互作用をふせぐことはできない。
以前、飲まなかったクスリをどうするかを聞いたアンケートがあって、すてる、取っておく、についで誰かにあげる、が2%あった。このクスリのやりとりで全国では年間かなりの副作用はがでているだろうが、実体は全くつかめない。
クスリのおすそわけ、にはくれぐれも御用心を。