うめばあさんの介護を唯一の生き甲斐にしているたつじいさんに肺癌が見つかった。
”じいさんが先に逝ってしもうたら誰がうめばあさんの面倒をみるんや、きっちり治療して元気になろう。”と半分おどしにも似た説得、(これが医者の悪いところなんでしょうけど、、)が功を奏してしぶしぶ入院を受け入れたたつじいさん。その間
うめばあさんはケアマネージャーの計らいで、ショートステイで面倒をみてもらうこ とに。
ところが、入院が決まって元気を無くしたたつじいさんの影響を受けてか、うめばあさんが急に食事を取らなくなったというのです。訪問看護のひとみナースの報告によるとむせて食べ物が気管に入ってしまう誤嚥も多くなっているようです。3ヵ月前の誤嚥による肺炎はなんとか在宅での治療で切り抜けましたが、だんだん状況は厳しくなっているようです。
もし誤嚥性肺炎を繰り返すようなら命取りになりかねません。
誤嚥を防ぐには嚥下のリハビリや、食べ物の工夫も大事ですが限界があります。鼻からチューブを胃に入れるか、胃カメラを使っておなかから胃に直接チューブを入れる胃ろう、を作って栄養剤を流し込む経管栄養も考える必要があるかもしれません。ただ痴呆も進んでたつじいさんのことさえわからんようになってきたうめばあさんにそこまでの延命治療をするのか、むずかしい問題です。もちろんどうするかは医者が一方的に決めることではないのですが。
たつじいさんは、そして子供さん達はどのように希望なさるのでしょうか?
本来は御本人の意志を一番優先すべきなんでしょうけど、今となってはうめばあさんに自己決定を迫るのは無理というもの。結局本人がしっかりしていたらこう決めただろう、という方針を家族が考えて決めるしかないようです。
御本人が元気なうちに自分が受けたい治療についてきっちり指定していたら、我々医療者はその通りにするだけで楽かもしれません。でもこのままでは死んでしまうかもしれない、というときになって、なにも延命治療はして欲しくない、という本人の事前指示を家族や我々医療者はそのまま尊重することができるのでしょうか。