寒さが厳しい毎日、インフルエンザが流行りだしました。なんとなく中学、高校生をはじめとした若い方に多いような印象です。閉め切った教室の中、あっという間に生徒の間で感染が広がってしまう、ということもあるでしょうが、比較的高齢者に少ないのは予防注射の効果かな、と思っています。
ところで、カゼをひいた時あなたはどうしますか?とりあえず薬を、抗生物質を、という方もおられるかもしれませんが、いわゆるカゼ症状を引き起こすのは90%がウイルス、そのウイルスには抗生物質は無効です。幸い、発熱、倦怠感、関節痛などの症状が強いインフルエンザウイルスに対してはその増殖を押さえる薬がありますが、その他のカゼのウイルスに有効な薬は
ありません。
ではなぜ、医者はカゼに抗生物質を処方するのでしょうか?昔は薬価差益、といって薬を出せば出す程もうかる、といった側面もあったのかもしれませんが、今ではほとんどそういったことはありません。カゼは万病のもと、カゼをこじらせて肺炎で、、
などとよくいいます。カゼで弱ったところへ細菌性肺炎をおこしては大変、と”念のため”に処方することが多いようです。
ところがこの予防的な使用も意味がない、ということがわかってきました。今年出される予定の日本感染症学会の手引きにも「カゼに抗生物質は無効、細菌性2次感染の予防目的の投与も必要ない」と始めて記載さ
れます。不必要な抗生物質の使用は耐性菌を増やすとの報告もあります。日本はアメ リカよりは少ないものの、ひとり当たりフランスやイギリスの2ー5倍の抗生物質を使用しています。
以前、35歳のイギリス人が3日以上続く高熱とせき、痰で受診、レントゲンでも影があり細菌性肺炎と考え「今まで抗生物質でアレルギーなどがでたことがあるか?」
と尋ねたところ「私は今まで抗生物質を飲んだことがないのでわからない」とのこと。医療制度の違いもあるでしょうが、カゼなどでほとんど医者にはかからないし、薬も飲まないということを聞いて驚いたことがあります。
ところが、それほど”念のため”と抗生物質をふんだんに使用する日本ですが、癌の痛みのコントロールに必須のモルヒネとなると、念のためどころか、今だに欧米の1
/7程度しか使われていません。痛みは本当につらいもの、念には念をいれて十分な 治療が必要だと思うのですが。