この4月から医師の研修制度が変わり、医学部卒業後2年間の臨床実習が義務化されました。卒業してすぐに大学病院で専門医療を中心に学ぶのではなく内科、外科、産婦人科、小児科、精神科、そして地域医療等を広く学ぼうという制度です。多くの新卒の医師が地域の病院でも研修するようになります。
一般に大学病院や同規模の大病院に紹介されてくる患者さんの割合は数百人に一人。 診断や治療が難しい病気がほとんどですが、病院には高度な医療技術や設備も整っていて患者さんが受診する目的もはっきりしています。一方、中小病院や我々開業医を
訪れる患者さんが訴える症状は、たとえば身体の問題か、心の問題かなどの区別も不明確で、本人をとりまく仕事や家族といった背景も無視できません。
大学病院で行われてきた従来の研修は運転免許を取ったばかりの初心者が若葉マークでいきなりFー1のレーシングカーの操縦を習うようなものかもしれません。まずは
普通の道路を乗用車で安全に走ることを習ってから特殊な運転を修得する、というのが筋道でしょう。
大病院とは違った医療現場を見る新制度、実は研修医にとってプラスなだけではありません。我々開業医にとっても”見られる”ことは刺激になります。人に教えることは教える側にとっての最高の学習法でもあるからです。研修医はアルバイトせず研修に集中できるように給料が保障されており、我々の時代を考えるとうらやましい限りです。さらに教える側も全くのボランティアというわけにはいかないでしょう。質の向上にはやはりコストがかかりそうです。
最近、熱心な医学生達が春休みなどを利用して見学にこられます。在宅医療などにとても興味を持って新鮮な感想を聞かせてくれます。医療ミスなどのニュースがマスコ
ミを賑わし、医療不振の空気がまん延する、そんな状況が彼、彼女達が活躍する10ー 20年後には好転していることを期待します。
意欲のある若い医師達の成長には患者さんの協力も不可欠です。病院や診所で頑張っている研修医や学生を見かけたら、あたたかく応援してあげてください。