まちかど診療日記
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医療面接もマニュアル化

神戸新聞掲載第25回 5月31日 より
さくらいクリニック 院長 桜井 隆

 医者が診療で患者さんの健康に関するいろいろな問題について尋ねることを問診、といいます。質問して診断する、といった意味でしょうか。ところが一方的な質問” 熱は?せきは?頭痛は?”といった「YES、NO」でしか答えられない”閉じた質問”を矢継ぎ早に投げかけて診断を導きだす、刑事さんの尋問のような質問(こう言 うと刑事さんに怒られそうですよね、優れた刑事さんは決して相手を一方的に追い詰 めたりしません、コロンボ警部のように。)は良くない。患者さんが自由にストーリー を語れる”その頭痛についてもっと詳しく聞かせてください”といったような”開いた質問”をして話しを聞く、いや聴く姿勢が大事だと言われるようになってきました。

 問診ではなく医療面接と言葉も変わってきました。耳を傾けて相手の話しをよく聴 く、傾聴というと私なんかは小さい頃によく見た、ラッパ型のスピーカーの前に座ってじっと耳を傾けている某ステレオメーカーの犬の置き物、、を思い出しますが。 そして共感の表現、相手に寄り添う気持ちを言葉に出して言うことが大切とされています。最近の医学生達はこういった医療面接を授業で習うようになっています。それはすばらしい事なんですが、うちのクリニックへ研修に来たある医学生はこんな話しをしてくれました。

 彼が臨床実習である患者さんのとても大変な病気のストーリーを黙ってじっと聴いていたら、後の評価で面接が始って5分以内に共感を言葉で示さなかった、として教官から注意を受けたそうです。彼は、次から次へと病気に襲われた本当に大変な患者さんの話しに、それは大変でしたね、なんて、私みたいな学生が口先だけの共感の言葉をかけるなんかえって失礼だと感じて何も言えなかった、、といいました。

 マニュアル対応がすべて悪いとは思いませんが、どんな時にも共感を言葉だけで示すことがいいとは限りません。「私って美人じゃないし、、性格も悪いから、、」とい う彼女に、「なるほど、やっぱりそう思いますか。」と単純に共感してしまったらすべて終わりですよね。
時には否定したり、怒ったり、人間としての心に正直な思いをお互いにぶつけあうことができる、そんな素直で正直な関係の中から一緒によりよい医療を見つけていければいいのですが。

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