まちかど診療日記
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リウマチと女心を巡って

神戸新聞掲載第27回 7月5日 より
さくらいクリニック 院長 桜井 隆

 先日、私と交代でこのエッセイを担当しておられる松井律子さんにリウマチ患者さんの勉強会に講師として来ていただきました。テーマは「リウマチと女心を巡って〜」 元来、男性医師が多い医療現場では女性が女性としてきちんとケアされることがあまりなかったようです。

最近、やっと社会的性差、ジェンダーをきちんと理解した上で 女性特有の疾患を治療する必要性が認識されてきました。女性に多い関節リウマチの診療も例外ではありません。はたして私を含めてほとんどが男性であるリウマチ医はリウマチ患者さんの揺れ動く女心を理解できているのでしょうか?

 松井先生は、精神科医としてそして女性としての立場からリウマチというやっかいな病気と長く付き合っていかねばならない患者さん達の、心の動きについてお話してくださいました。たとえば男性は仕事を休めば家で安静にできるが、女性は家事を休め ない、家族が痛みに対して理解があるかどうかで、痛みに対する感じ方が違ってくるといったように。

またリウマチ患者さんの手指の変形に関しても、我々医者は使い勝手がどうかしか考えませんが、患者さんは美容的な観点からも悩みが多い、健常人との食事の時に気を使うとか、写真に写る時は変形した手を思わず隠してしまうとか、そういった心の動きが病気自体に与える影響も無視できないようです。

また病気と共存しながら自分のしたいことをする、という前向きの姿勢で暮らすには、女性として家事が不完全で家族に申し訳ない、といったジェンダーの縛りから気持ちの上で自由である、自分が病気に負けないで元気に暮らしている姿こそ、家族や地域の人に勇気 を与えるメッセージなのだ、という誇りを持ってほしい、というエールを頂きました。 松井先生のお話で視野が広がったとても素敵な講演会でした。

 さて、ひとりだけ来られていた男性リウマチ患者さんからは、リウマチというと女性の病気と思われていて、男性は肩身が狭い、との御発言も。男性には少ない病気、リウマチを始め乳癌や甲状腺疾患などでは男心も考えた医療が必要なんだと、さらに課題が増えてしまいました。

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