最近、病気の名前をかえる動きが出てきています。
分裂病、痴呆症はそれぞれ”統合失調症””認知症”などに。その病気で苦しむ人達の立場を考えず見下ているような感じがする、という観点から病名の変更が行われました。
長年古い名前に慣れ親しんだ私達にとってはなんとなくイメージとしてつかみにくい印象はありますが。たとえば分裂病は、英語のSchizophrenia(スキゾフレニア)の訳語ですが、本来の意味は「物事の考えをつなげる働きが障害されている」といった意味で、精神が分裂する、という一般人がイメージするジキル博士とハイド氏といった多重人格とは違ったものです。その人の精神全体がバラバラになってしまうような誤解が生じ、患者さんの人格全体を否定し、偏見や差別を生んできたため2002年に日本精神神経学会が統合失調症、に改めました。統合失調、にしても認知障害にしても、克服すべき病気、という観点で捉えられるという意味では名称変更の意味があると思います。
その他にも病気の名前にまつわる謎はいろいろあります。
以前”糖尿病”の方に「どうも病名に”尿”という言葉があるのはなんとなくイメー ジが悪い。”高血圧”とおなじように”高血糖”ではどうしてだめなのか?」と尋ねられたことがあります。腰の痛みを”腰痛症”とはいっても首、頚部の痛みを”頚痛症”とはいわないのは何故でしょうか。
血友病、血が友人?なんてあまりいい名前ではないですし、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は大変言いにくい、3回続けるとまるで早口言葉のようです。なぜ骨粗症(こつそしょう)ではダメなのでしょうか?
悪性貧血は悪性ではなくビタミンB12の欠乏で診断さえつけば、ビタミンB12の補充でなおりますが、悪性リンパ腫はその名の通り悪性、癌の一種で抗癌剤治療が必要です。
このように病気の名前も時代や社会の変化と共にかわっていきます。
不治の病と恐れ られた”労咳(ろうがい)”が、きちんと診断、治療すれは恐れるに足らない単なる感染症、”結核”となったように”癌”もいつの日か単なる”腫瘍”と呼ばれる日が来るのでしょ
うか?
果たしてそのころには我々は一体、どんな病気と格闘しているのでしょうか?