まちかど診療日記
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クーラーは身体に悪いか?
神戸新聞掲載第9回 8月25日 より
さくらいクリニック 院長 桜井 隆
 今年の夏の暑さは例年と比べるとそれ程でもないようですが、8月も終わりに近づいているとはいえ、蒸し暑く過しにくい残暑がまだまた続きそうです。
ヨーロッパで は連日40度!という記録的な猛暑が続き、特にフランスでは熱波による死者が3000人を越えたとされています。普通ヨーロッパの夏は暑くてもせいぜい30度くらいまでで朝夕は比較的過しやすく、一般家庭ではそれ程クーラーを備えていません。そのため脱水をおこした一人暮らしの高齢者などに死者が目立っているようです。

こういった熱波による被害がフランスで特に目立った理由として、年間の総医療費があらかじめ決められておりすべの医療がその予算の枠の中で行われる、さらに7、8月は長期バカンスのため開業医の多くは休診、病院の多くが病床縮小していて診療体制 が制限されている、という日本ではとても信じられないような状況が背景にあるようです。フランス政府は特別予算に基づいた緊急医療体制を取り、休暇中の医療者に診療に戻るように求めた、と報じられています。

 日本でもコンクリートに囲まれた都市部の暑さはなかなかこたえます。しかし「クーラーは身体に悪い」といって使おうとしない高齢者の方が結構多く、往診に伺って一歩家の中へ入るとその暑さと湿気にこっちがまいってしまうことも。そんな中で暮ら しておられると脱水になってかえって身体に悪いのでは、と思います。

確かに窓を開 け放つと風がさっと通って、すだれに風鈴、打ち水、氷にすいか、遠くでどーんと花火の音がして、といった”日本の夏”はCMでしかお目にかかれない世界、緑や土の地面が減って気温は上昇、家の構造自体が昔の木造家屋と違って風が通りにくく、窓を開けても入ってくるのは隣のクーラーの熱風、という状況では涼を取るのはむずか しいようです。

一応たいていの家にエアコンは付いているので、除湿だけでも使って みてはと勧めてはみますが、リモコンのスイッチが電池切れだったり、使い方がわか らなかったり、フィルターの掃除が高齢の御夫妻には困難、とりはずそうとして椅子 にのぼって転倒、なんていうことも。とにかく快適な温度と湿度、そして脱水になら ないよう十分な水分補給で残暑を元気に乗り切ってください。
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