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第2号   NEWSLETTER   大阪地域医療ケア研究会   2003年3月20日発行    (4)


 
大阪地域医療ケア研究会 第1回セミナー
 
  報告 III  
長畑 卓治(住吉診療所:事務長&相談員)

◆住吉診療所の実践報告◆


▼診療所の概要

 住吉診療所の事務長兼相談員という立場で報告させて頂きます。
設立は、1986年で、概要は下記の通りです。常勤医師として後岡医師、大伴医師がいます。
 今までは大伴医師が診療所を支えていましたが、新しい内科・小児科の後岡医師にバトンタッチし、 現在転換を図っているところです。


( )内は人数
常勤医師 後岡管理医師(内科・小児科)大伴医師(内科)
非常勤医師 内科(6)・小児科(1)・整形科(3)眼科(1)・訪問(1)・ドッグ&エコー検査(2)
常勤看護師 外来(2.5)・在宅訪問(3)・健診(0.5)
非常勤看護師 外来(4)
常勤受付医療事務員 (2)
非常勤受付医療事務員 (6)
常勤管理者 (2)*経営・医療相談員含む
その他非常勤 薬剤師(4)・放射線技師(4)栄養士(1)・マッサージ師(1)


▼業務三本柱

 ・外来患者  約550人(のべ約3000人/月)
 ・在宅訪問診療・看護  約30人/月
 ・健診受診者  約20人/月
  ※部落地域内(約500世帯1300人・独居老人約100世帯)
    地域外約半々の利用数

▼ケア・相談内容

 医療相談として、痴呆症の問題、独居老人の問題、孤独死の問題、多発性脳梗塞、躁鬱病(こころの病)、これに伴う自殺行為、或いは末期癌、転倒骨折、脳挫傷入院、パーキンソン症候群、知的障害、筋緊張性ジストロフィーなど様々な相談に関するケアを行っています。

▼医療・福祉機関との連携

  医療機関は、府立病院、住吉市民病院を中心として、近隣の診療所(精神科・在宅・健診・眼科)との連携を図っています。特に当診療所に精神科を持つことは困難なため、田畑クリニック(精神科)と連携を取り対応しています。
 福祉機関は、なごみ居宅支援事業者(ケアマネ・デイサービス・訪問介護)と住吉総合福祉センターのリハビリセンター、配食サービス、知的障害者作業所などと連携を取っております。その他、人権文化センターの社会資源も活用しています。

▼住吉診療所の役割

 「揺りかごから墓場まで」ということで、地域には保育所もお寺もあり、充実した社会資源は整っています。それらの資源を活用しながら、医療・福祉・保健サービスをつなげていく必要があります。あと、周辺地域住民の健康と暮らしをサポートしていく(健康----身体・こころ・家族や社会)ということが大切だと思います。
 来年度には365日24時間の在宅支援サービスを立ち上げる予定で、我々診療所のあり方が問われております。

▼実践報告  U.Sさんの場合
 87才  病名 高血圧症・変形性膝関節症
 女性       白内障・脊椎症・難聴
           左耳身障手帳3級
       要介護 5 主介護者 娘

●ADL
 歩行困難 自宅では這うように移動・野外は車椅子介助・食事自力摂取可・排泄リハビリパンツ使用・デイ入浴・訪看自宅入浴介助・衣服着脱ゆっくりと自力着脱可。 物取られ妄想あり・昼夜逆転あり。

●生活暦
 10年前まで長女と同居。昨年まで手押し車での自力歩行可。しかし、徐々に身体能力が低下し、訪問看護・デイサービスを最大限に利用し、なんとか独居で生活していた。

●問題
  昨年夏すぎより身体能力著しく低下し、10月には立位困難。車椅子の移乗、入浴不可。その後徐々に回復。しかし、痴呆症状がときどき見られるようになった。

●対応
  本人の「自宅で暮らしたい!」という願いをかなえられるよう在宅サービス会議で検討。(夜間介護体制・夜間緊急体制・隣近所の理解・痴呆症等医療的サポート) しかし、家族の強い要望(孫娘が自分の姑さん を無理して在宅で看られた際に姑さんとの関係 がうまく行かず、十分な対策ができずしんどい 思いをした。そんな思いを母にさせたくない) で老健施設へ入所。

▼住吉診療所の課題

(1)理学療法士がいないため
  地域リハビリの展開、訪問リハビリサービスの実施ができない。今後は、総合福祉センターのリハビリと連携して、地域リハビリの展開が必 要である。

(2)外来部と訪問部と健診部が有機的につながって いない。
患者さんの状態に応じて臨機応変に対応しない といけません。各部署バラバラでなく、対応(導 入)・治療・ケア等一貫した流れのマニュアル的 基準をもったチーム医療を行う必要がある。

(3)医療相談員(MSW)の位置付けが弱い。
保険点数がないということもあり、役割として 明確な位置付けがない。

(4)患者さんの服薬依存度が高く、理解度が低い。
  服薬の見直しと丁寧な説明、計画的な検査の強 化、慢性指導の強化(運動処方・リハビリ処方) が必要。

(5)職員評価(査定)の実施、評価基準・目標の作成と明確化。
  医療サービスの水準の向上と個々 人の努力目標を具体化する。

(6)他機関との連携。
  特にケアマネジャーやヘルパー、デイサービス 職員との協力関係をつくる。ただ、患者さんや 利用者への感覚の違い、専門用語、指示系統、 考え方の違いがある。

(7)日曜・祝日・夜間・深夜の対応が十分でない。
  365日24時間の体制の強化。

 以上、非常に精神的にも外見的にも色々問題が ありますが、あせらずやっていきたいと思います。


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