◆住吉診療所の実践報告◆ ▼診療所の概要 住吉診療所の事務長兼相談員という立場で報告させて頂きます。 設立は、1986年で、概要は下記の通りです。常勤医師として後岡医師、大伴医師がいます。 今までは大伴医師が診療所を支えていましたが、新しい内科・小児科の後岡医師にバトンタッチし、 現在転換を図っているところです。
▼業務三本柱 ・外来患者 約550人(のべ約3000人/月) ・在宅訪問診療・看護 約30人/月 ・健診受診者 約20人/月 ※部落地域内(約500世帯1300人・独居老人約100世帯) 地域外約半々の利用数 ▼ケア・相談内容 医療相談として、痴呆症の問題、独居老人の問題、孤独死の問題、多発性脳梗塞、躁鬱病(こころの病)、これに伴う自殺行為、或いは末期癌、転倒骨折、脳挫傷入院、パーキンソン症候群、知的障害、筋緊張性ジストロフィーなど様々な相談に関するケアを行っています。 ▼医療・福祉機関との連携 医療機関は、府立病院、住吉市民病院を中心として、近隣の診療所(精神科・在宅・健診・眼科)との連携を図っています。特に当診療所に精神科を持つことは困難なため、田畑クリニック(精神科)と連携を取り対応しています。 福祉機関は、なごみ居宅支援事業者(ケアマネ・デイサービス・訪問介護)と住吉総合福祉センターのリハビリセンター、配食サービス、知的障害者作業所などと連携を取っております。その他、人権文化センターの社会資源も活用しています。 ▼住吉診療所の役割 「揺りかごから墓場まで」ということで、地域には保育所もお寺もあり、充実した社会資源は整っています。それらの資源を活用しながら、医療・福祉・保健サービスをつなげていく必要があります。あと、周辺地域住民の健康と暮らしをサポートしていく(健康----身体・こころ・家族や社会)ということが大切だと思います。 来年度には365日24時間の在宅支援サービスを立ち上げる予定で、我々診療所のあり方が問われております。 ▼実践報告 U.Sさんの場合 87才 病名 高血圧症・変形性膝関節症 女性 白内障・脊椎症・難聴 左耳身障手帳3級 要介護 5 主介護者 娘 ●ADL 歩行困難 自宅では這うように移動・野外は車椅子介助・食事自力摂取可・排泄リハビリパンツ使用・デイ入浴・訪看自宅入浴介助・衣服着脱ゆっくりと自力着脱可。 物取られ妄想あり・昼夜逆転あり。 ●生活暦 10年前まで長女と同居。昨年まで手押し車での自力歩行可。しかし、徐々に身体能力が低下し、訪問看護・デイサービスを最大限に利用し、なんとか独居で生活していた。 ●問題 昨年夏すぎより身体能力著しく低下し、10月には立位困難。車椅子の移乗、入浴不可。その後徐々に回復。しかし、痴呆症状がときどき見られるようになった。 ●対応 本人の「自宅で暮らしたい!」という願いをかなえられるよう在宅サービス会議で検討。(夜間介護体制・夜間緊急体制・隣近所の理解・痴呆症等医療的サポート) しかし、家族の強い要望(孫娘が自分の姑さん を無理して在宅で看られた際に姑さんとの関係 がうまく行かず、十分な対策ができずしんどい 思いをした。そんな思いを母にさせたくない) で老健施設へ入所。 ▼住吉診療所の課題 (1)理学療法士がいないため 地域リハビリの展開、訪問リハビリサービスの実施ができない。今後は、総合福祉センターのリハビリと連携して、地域リハビリの展開が必 要である。 (2)外来部と訪問部と健診部が有機的につながって いない。 患者さんの状態に応じて臨機応変に対応しない といけません。各部署バラバラでなく、対応(導 入)・治療・ケア等一貫した流れのマニュアル的 基準をもったチーム医療を行う必要がある。 (3)医療相談員(MSW)の位置付けが弱い。 保険点数がないということもあり、役割として 明確な位置付けがない。 (4)患者さんの服薬依存度が高く、理解度が低い。 服薬の見直しと丁寧な説明、計画的な検査の強 化、慢性指導の強化(運動処方・リハビリ処方) が必要。 (5)職員評価(査定)の実施、評価基準・目標の作成と明確化。 医療サービスの水準の向上と個々 人の努力目標を具体化する。 (6)他機関との連携。 特にケアマネジャーやヘルパー、デイサービス 職員との協力関係をつくる。ただ、患者さんや 利用者への感覚の違い、専門用語、指示系統、 考え方の違いがある。 (7)日曜・祝日・夜間・深夜の対応が十分でない。 365日24時間の体制の強化。 以上、非常に精神的にも外見的にも色々問題が ありますが、あせらずやっていきたいと思います。