医療事故調査会


医事関係訴訟委員会への要望書
■全事例
 

事例 4)

1.事案の経過


  乳がんの見落としが問われた事例。患者は開業産婦人科をかかりつけとしており、避妊のため、いわゆるピルをのむために、毎月被告医院に通っていた。ピルを飲み始めた年齢は40歳であり、その当時は現在発売されている低容量ピルはまだ未発売で高容量ピルを処方されていた。
  乳頭に血性分泌物があるため定期受診以外に受診した問題の診察時、患者の年齢は 48歳であった。
  その後、他院で乳がんを発見され、治療を受けた。転移のため、53歳で死亡。

2.判決の内容

(1) 問題の診察時に乳がんを発見可能だった。
(2) 湿疹の軟こうを処方して様子を見るという被告医院の診療は正当である。次回に受診しなかった亡患者に責任がある。
(3) 避妊指導としてピル処方は適切であった。

→ (2)、(3)は妥当でないと思う。(2)に関して、悪性病変がマスクされてしまうおそれがある。 (3)に関して、43歳を過ぎた女性の妊娠率は限りなくゼロに近いから。

3.影響度

被告側意見書 → 50%
原告側意見書 → 50%

  判決(1)は原告側意見書を採用した。けれども、(2)と(3)に関して、被告側意見書を採用し、原告敗訴となった。

4.感想・意見(当会 鑑定医)

○ 乳がんのダブリング・タイムの計算について、裁判所は採用してくれたけれども、乳がんを疑わせる症状がある場合に、まず軟こうで経過を見て、治癒しないときに初めて癌を疑うという診療方法を肯定した点で疑問がある。癌を疑わせる症状がある場合、最初に癌を否定しておいて、そのあと、皮膚疾患として経過を見るのが正しい診療方法であるとする私の見解を斥けた点にて、不当と考えている。

 

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