「医療の提供体制の抜本改革への提言」



 平成医療改革は“抜本改革”ではない!!
21世紀を目指した改革は
もっと知的・論理的なものでなければならない!!


 目下厚生省・与党協・医師会が提出している案は以下の通りである。すなわち、“質の高い医療の保障と、医療の保険の安定”を目指すために、“医療提供体制を改善する”と述べている。それは“自由開業医制”や“フリーアクセス”を保障しながら“効率的な医療体制”を作るために、医療機関の機能分化、過剰病床の削減、医師数抑制等を提案している。更には情報提供の推進も示唆している。基本的な考え方としてこの様な事を挙げ、具体的には更に機能分化化として、大病院での外来規制、かかりつけ医の整備、長期入院の是正・医師・歯科医数の抑制と質の向上、臨床研修の必須化等、また医療情報の提供に対しては、病院機能評価を含めた点を強調している。しかし、このような表面的・部分的な対応では決定的に不足しており、本質的改菩にはなり得ないと考える。何よりも、医師会自身の抜本的改革案においても、自らのなし得る具体的な方策はぽとんどみられないことは、改革という言葉にそぐわない。

−現在の問題点−
現在の地域医療の抱える大きな問題としては、
 @個別閉鎖型施設(病院・診療所)
 A差益依存型経営体質
 B医療需要を考慮せず、質的に問題のある自由標傍・自由閉業制
 C地域及び医療従事者内におけるAuditingシステムの欠如、
  リスクマネージメントの欠如
 D生涯教育の義務化の未施行及ひ医師免許の更新制の欠如
 E施設機能評価の欠如
 F住民のおまかせ型医療観
 G医療情報が非開放的・散逸的であり、医学的質の低い情報管理が続いている。
  無駄な重複医療が地域医療内でもみられる。
 この様な基本的な矛盾が、昭和32年の国民皆保険以来、ほとんど放置されたままに来た。そのために、医療の質にバラツキか多く、また無駄も多く、出来高払いとあいまって実は日本の医療界において、約10兆円近い経済的な無駄遣いがあるのではないかと指摘されている。これは地域別にみても、真実性をもっている。八尾市内14病院を例にとれば、平均点以上の医療を行う私共ともう1つの総合病院への審査は厳しい。また同様な疾患についてのての診断・治療内容が各病院でばらつきが大きいのも長年にわたって放置されてきた。
CT・MRI・点滴療法・抗生物質の使用法等についてもかなりの開きがある。これらは医師の裁量権といわれて、客観的評価を受けることをまぬがれてきた。単なる平均点数による経済審査では質の改善には革びつかず、いかにして審査を回避するかということに終始してきたのである。

 最近の安田病院グル一プの“診療”内容をみても、アミノ酸製剤の常習使用、対象細菌を考慮しない抗生物質の使用、アルブミン、ガンマグロブリン剤の濫用、全く評価されない検査等々、およそ知的配慮とは程遠いものであった。このケ一スは特に異常な例であるが彼等が10年以上に亘ってそのような“医療?”を行い100億以上の利益を得たいということがAUDITの欠如が生み出した恐ろしい結果である。このシステムの欠陥は日本全体についても影響しており、程度の差はあれ日常的無駄診療が広い裾野で行われている事 を示している。

 従って、長期的な展望に基づいて医療供給体制をどういうふうに根底から改編するのかが、医療保険の側への影響も含めて最も大切なことである。

 


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