● ノルウェー患者権利法 ●



第3章 参加と情報の権利

3-1節 患者の参加権

 患者は自分の医療の実施に参加する権利がある。これには利用可能で医学的に健全な検査および治療の方法の選択に参加する権利が含まれる。参加の形態は、患者個々の情報授受能力に適応させるものとする。

 もし患者が承諾を与える能力を欠くならば、患者の最近親者に患者と共に参加する権利がある。

 もし患者が治療の行われるときに他の者の同席を望むならば、患者の望みは出来る限り受け入れるものとする。

3-2節 患者の情報権

 患者は、自己の健康状態および医療内容の洞察を得るために必要な情報を与えられるものとする。患者は起こりうる危険と副作用についても知らされるものとする。

 情報は患者が表示した意思に反して与えることはないものとする。ただし医療によって起こる有害な影響の予防に必要であるか、または法規により規定されているか、法規に従う場合を除く。

 患者の生命を危険に曝すことを防ぐため、または患者の健康に重い損害を与えることを防ぐために絶対に必要であれば、情報を省くことができる。患者に近い者に対する配慮から、そのような情報を与えるのは勧められないことが明らかな場合にも、情報を省くことができる。

 傷害または重い合併症を患者に負わせた場合、患者にそのことを知らせるものとする。同時に、ノルウェー患者補償制度による補償を求める権利を患者に知らせるものとする。

 もし、治療完了後、医療の結果として患者が無視できない程度の傷害を受けていることが判明すれば、できればこのことを患者に知らせるものとする。

3-3節 患者の最近親者へ与える情報

 患者が同意するか状況により正当とされるなら、患者の最近親者は患者の健康状態及び実施中の医療に関する情報を受け取るものとする。

 もし患者が16歳以上で、身体的または精神的疾患、老人性認知症、または知的障害のために自己の利益を護れないことが明らかであれば、患者と最近親者の両者に3-2節の規定に従って情報を得る権利がある。

3-4節 患者が未成年者の場合の情報

 もし患者が16歳未満であれば、患者と、その両親または親の責任を負う者の両者が情報を得るものとする。

 もし患者が12歳と16歳の間の年齢で、その患者がもっともな理由で、両親または親の責任を負う者に情報を得て欲しくないと望む場合、そのような情報は与えられないものとする。

 しかしながら、患者が18歳未満の場合、親の責任を果たすために必要な情報は、両親または親の責任を負う者に与えられるものとする。

 もし児童福祉機関が、児童福祉法の4-8節または4-12節に従って16歳未満の児童を保護したならば、第1段、第2段、第3段が同様に児童福祉機関に適用されるものとする。

3-5節 情報の形式

 情報は年齢、成熟度、経験、文化的言語的背景のような受領者個々の資質に適応させるものとする。情報はよく配慮して提供するものとする。

 医療従事者は患者が情報の内容と意義を確実に理解するように、できる限り努めるものとする。

 提供された情報に関する項目が患者の診療記録に記載されるものとする。

3-6節 情報流布を保護する権利

 医療と保健に関連する情報およびその他個人情報は守秘義務に関する現行の規定に従い取り扱うものとする。情報が関連している人の品位に対し敬意を以って注意深く扱うものとする。

 守秘義務は、秘密性の権利を持つ者が同意する限度まで適用を停止する。
 もし医療従事者が法律に定める公開の義務に従って情報を公開するならば、その情報が関連している者に、状況により正当と認められる限り、情報が公表されたことおよび問題の情報の性質を知らせるものとする。

 

   


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