患者会「松樹会」の活動内容

「年季の入ったお宝」

機関誌 「松樹会ニュース」 Vol.26より
松尾クリニック   院長 松尾 美由起



 今年は春が大急ぎでやってきて「桃」と「桜」と「つつじ」が一緒に咲いてにぎやかに一番 美しい季節を盛り上げていました。最近は四季までが遅れないようにと焦っているのかもしれません。

 時代の流れと言うのでしようか、小さい頃によく連れて行ってもらったことのある宝塚遊園 地や動物園が閉園するとききました。手作りのぬくもりの感じられる幼い夢が何となく遠くに 行ってしまったようで寂しい気がします。野原やお寺の草むらの中を駈け回って遊んだ頃のノスタルジアに浸りながら往診に出かけました。

 最近「もう年ですわ」とおっしやる方に「クリニックでは70歳代はヤング、80歳代は中年と いう位で皆さんまだまだ若いんですよ」と言うのですが・・・・在宅の患者さん達はよく「こんなに長生きしてしまって何の役にも立てずいやになってしまう。」と言われることがあります。 確かに高齢者社会に突入したようですが、この長生きの秘訣を編み出したのも今の中年世代(80歳代)です。「おばあちゃんの智恵」とよく言われるように私たちがビックりするくらい の工夫と英知でおいしいものや衣服や住まいの便利さが保たれてきたのも事実です。今ではインターネットが普及して、どこでも何でも欲しい情報が即座に手に入る便利な世の中になってきましたが、やっぱり細やかなところは大先輩に伝授してもらわなければかなわないなと思うところがたくさんあります。大いに役に立ってくださっているではありませんか。

 日本一の長寿県沖縄には「生涯現役」の「おばぁ」「おじい」(乱暴な言葉ではなく沖縄の方言で高齢者を親しみをこめてこのように呼ぶそうです)がとても元気だといいます。  80歳を過ぎてもなおパリパリ働き、大いに笑い歌い踊り、堂々としているだけでなく、「男 一人養えないようじゃ女は失格だ」と言うくらいすごい存在なのだそうです。おばぁがいなけ ればやっていけないよと言わせる確固とした自信があるのでしょう。

 「子宝」と言いますが、それに対して言えば皆さんは「年季の入ったお宝」だと思うのです。 堂々と長生きして色んな事を私たちに伝えていってくださいね。

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