松尾クリニック
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遠隔医療・治療

「褥 瘡」

 

日常外来診療ハンドブック執筆文より抜粋
メディカルトリビューン
[定義・概念]
 
一定の部位に持続的な圧迫が加わり血流やリンパ流がうっ滞し、組織に虚血が起こる。それが持続することによって組織の壊死を起こし、皮膚潰瘍などをつくってくる状態である。
 
[成因・原因]
  ■局所的な成因・原因
   
(1)
持続的な圧迫:毛細血管や小動脈は、わずか32mmHg以上の持続的な圧迫で血流が低下し虚血状態となる。
   
 
   
(2)
摩擦・ずれ:皮膚と皮下組織とのずれ、例えばシーツ交換時の摩擦やギャッジベッドの挙上時などに起こりやすい。
   
 
   
(3)
皮膚の脆弱化:老化に加えて浮腫や乾燥で皮膚自体が脆くなっていると生じやすい。
   
 
   
(4)
湿潤・不潔」失禁や不潔・発汗状態を放置しているような場合に起こりやすい。
   
 
       
  ■全身的な成因・原因
   
(1)
全身状態の悪化:感染などによる抵抗力の低下
   
 
   
(2)
低栄養状態
   
 
   
(3)
貧血
   
 
   
(4)
浮腫
       
    (5) るいそうによる骨の隆起
       
    (6) 末梢循環障害(血管閉塞性病変など)
       
    (7) 知覚障害
       
    (8) 運動障害(脳血管障害、脊髄損傷、Parkinson病など)
       
診 断
 
       
[主訴]
   
(1)
皮膚の発赤:本人のみえない、骨の突出した部位に発赤がみられることが多い。
   
 
   
(2)
局部の痛みを伴うこともある。
       
       
[病歴聴取の要領・身体所見のとり方]
   
(1)
褥瘡のできやすい部位
最もできやすい部位は仙骨部で、そのほか大転子部、肩甲骨部、後頭部、肘足部、その他骨の隆起部はどこでもできうるので全身を観察する。
   
 
   
(2)
初期は発赤から始まる。
   
 
   
(3)
褥瘡は状態に応じて治療を変えていく必要がある。いろいろな分類があるが、日常診療に用いるには次の(A)深達度による分類(Sheaによる)と(B)色による分類(福井基成氏)が便利である。
   
(A)
深達度分類
      *グレードI:圧迫を解除して30分経っても皮膚の発赤が持続する。
      *グレードII:表皮がはがれ、真皮の損傷があり、びらんか水疱を生じる。
      *グレードIII:損傷が皮下脂肪にまで達している状態。
      *グレードIV:皮下組織を越えて筋肉や骨にまで達した状態。
       
   
(B)
色による分類
     

*黒色期(図1):最も重症の時期で、皮膚および皮下組織の壊死による黒色壊死組織(痂皮:壊死した皮膚と滲出液の固まったもの)が創部を覆っている状態。

      *黄色期(図2):深部にあった黄色の壊死組織や不良肉芽が創表面に現れた状態。
      *赤色期(図3):黄色の壊死組織が除かれて、赤い肉芽組織が創面に出てきた状態。
      *白色期(図4):創の辺縁から表皮細胞が遊走してきて、肉芽は収縮しろっぽい上皮が形成された状態。
     

図1 背部の黒色期褥瘡

図2 仙骨部の黄色期褥瘡

図3 仙骨部の赤色期褥瘡

図4 大転子部の白色期褥瘡
   
(C)
ポケット形成(図5)
   

図5 仙骨部の褥瘡ポケット形成
正常な皮膚の下まで褥瘡が広がった状態で、表皮と真皮の間がずれることにより内部組織の壊死が広がったもので、ポケット状になっている。内部が観察しにくいため、感染や壊死組織が残りやすい。
   
 
   
(D)
創部の感染
      褥瘡の創部の腫腸、発赤、疼痛、悪臭がある場合には感染があると考えてよい。
       

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